![]() 本日一冊目は有栖川有栖さんの国名シリーズ第五弾「ペルシャ猫の謎」です。講談社ノベルスより。 決して順番どおりに読んでいるわけではない有栖川さんの著作ですが、そろそろ文庫版で集めようかなあという思いがあります。そんなことを複数のシリーズで言っているわけですが(笑)ああ、もっと早く生まれたかったなあ。 粗筋は チェシャ猫の笑いも吹きとぶ謎・謎・謎 ミステリ史上屈指の禁じ手!?が炸裂する表題作、「ペルシャ猫の謎」、名バイプレイヤー・森下刑事が主役となって名推理を披露する「赤い帽子」他、傑作ミステリ6編&ボーナス・トラックとして「猫と雨と助教授と」を収録。臨床犯罪学者・火村英生とミステリ作家・有栖川有栖の名コンビは、さらに華麗に加速する! …というもの。 どちらかというとお楽しみ色の強い一冊です。通学中・学校の休憩時間に読みながらたっぷり楽しませていただきました。以前から有栖川さんは好きだったんですが、大分私自身が成長してよりよく楽しめるようになってきたなあ、と思います。面白いです。 なんと言っても、ひとつひとつの短編の密度が高いのです。みっちりぎっちり有栖川作品の面白さが凝縮されているような、といった感じでしょうか。ボーナス・トラックの「猫と雨と助教授と」なんてとても美味しい食後の珈琲のようです。 どれも好きなお話でしたが、主に好きなのはみっつ。 「赤い帽子」 これは上記の通り、こっそり魅力を放っていた脇役の森下刑事が主役の短編です。森下さん、以前から気になっていただけにじっくり楽しんで読みました。 彼はジャニーズ出身かと問われるような顔立ち(笑)にアルマーニのスーツ、というのが大まかな特徴ですが、彼の事件に対する真摯な態度と、自分を取り立ててくれた上司に報いるためにも事件を解決したいという姿勢がとても好印象でした。彼がブランド物のスーツを着ている理由も明らかになりますし。 ただ穏やかなだけではない、真面目で一生懸命な森下さんを応援したくなる短編でした。 私的に、これで森下さん好きは急増したと思うのですが(笑)私は更に好きになった口です。 なんとこの短編、大阪府警の社内雑誌に連載されたものだそう。 大阪府警、粋な計らいではないですか。その社内雑誌、一度見てみたいです(笑)。 「悲劇的」 数ページのほんとうに短いお話ですが、とても印象に残るものでした。 火村さんの付け足した十八文字が、読み終えたあと胸にひっそりと残るような。 ゴシック体がまた良い味を引き出しているように思います。 「猫と雨と助教授と」 火村さんの猫好きな一面をすこし掘り下げて描いた一編。うわあ、これ大好きです。火村さんファンは絶対、好きですよ、これ。妙な自信があります(笑)。 濡れた野良猫を抱いた火村さんが、いやに真剣な瞳であの言葉を言うのが想像出来てしまいます…(笑)。いつもは描かれない火村さんの良い意味での人間くささがさらりと描かれていて。なんとも言えず、好きです。 ![]() お次は「桜の下の人魚姫」沖原朋美さん、コバルト文庫より。 粗筋は あなたの世界を教えて。そして、生きて――。 女子高生の沙耶と、天才ピアニストだった彗。まだ固い蕾のようなふたりの、淡い恋のゆくえ――。 圧倒的支持を受けた2003年度読者大賞受賞作が、もう一つの書き下ろしストーリーとともに登場! …です。 以前「佐藤さん」の時に、今年で一番の新人さん云々と書いたのですが、訂正します。 文庫デビュー作の「勿忘草の咲く頃に」は、好きなことは好きなのですが、すこしピンと来ませんでした。 雑誌に掲載された「桜の下の人魚姫」を読んで、ほろりときて思わず雑誌をコピーするほど好きになっていたお話です。イラストも雑誌掲載時と同じ方で嬉しい。帯を外すとまた粋な計らいがあります。素敵です。 文庫第二作「待つ宵草がほころぶと」は未だ読んでいないのですが、三作合わせて三部作、らしいのです。読んでみようかなあ、と思っています。 表題作と、書き下ろし短編の二編を収録してあります。 雑誌で読んではいたのですが、最初から読みました。丁寧に描写されていて、静かにゆっくりと移ろっていく感情の動きにすうっと惹き込まれてしまいました。 それと書き下ろし短編「月のしらべ 銀のみち」もとても素敵なお話でした。 すうっと読み手を惹き込んでしまう、そういう魅力と繊細な文章を持った作家さんだと思います。とくに、切ない気持ちを表現するのがとても上手い。細やかな感情の動きをやわらかに描写していて、近年のライトノベル界では一番文章が小慣れている新人さんだと思いました。 双方ともねたばれしそうなので具体的な感想は避けますが、とても素敵。 この作家さんの作品は書き出しが季節の描写で始まることが多いなあと思いますが、ライトノベルでなくても活躍できそうな文章を書かれていると思いました。ハードカバーで短編集とか出してもおかしくないのでは、と。 ふたつのお話が少しずつ絡んでいる所も好きです。 今月中旬発売の雑誌に短編が掲載されるそうですが、タイトルからして「月のしらべ 銀のみち」にすこし登場した晴香さんのお話では?と辺りをつけつつ、発売を楽しみに待ちます。 個人的には、今年のベストセラー純愛小説よりもお薦めです。私はこちらのほうが好きなんですけれど。 先が楽しみな新人さんです。 ![]() お次は「遠征王と秘密の花園」高殿円さん、角川ビーンズ文庫よりです。 粗筋は 男装の女王アイオリア復活! 遠征王ことパルメニア王アイオリア1世(注意:女性)と、その寵愛をうける後宮の愛妾(お花さん)たちのめくるめく(!?)ファンタジー、待望の特別編登場! …です。 最近、だんだんと注目されてきていている作家さんで、古参ファンとしては胸を張りたい今日この頃です(笑)。 リアルタイムで完結したシリーズだったので、とても思い出深い物があります。ライトノベルだからといって馬鹿に出来ない、ヒストリカルファンタジーです。細かなところまで良く練られていて、パルメニアという国がとても好きになります。いいなあ。 お話は、時期的には「尾のない蠍」の直前といったところでしょうか。このころのアイオリアの感情の動きが、ああ繋がるのだなあと腑に落ちました。 このシリーズ、時折辻褄が合わない箇所があったりするのですが、それを引いても十分、魅力的です。 今回は高殿さんのパルメニア関連シリーズを読んだ人にはプレゼントのような人々が沢山登場したりして、色々美味しい一冊です。表紙も七人?のお花さんたちですし。幸せ。ナリスもすこし報われていて、ほっとします。 それでいて楽しい面だけではなくて、オリエ(アイオリア)の内面もしっかり描かれているのは流石です。 あとがきによるサプライズなお知らせに早く応募しようと思いつつ(笑)。 はじめと終わりの書き方がほんとうに素敵で、シリーズを読み通した記憶がぐっと押し寄せて、ほろりと泣いてしまいそうでした。 by nanakikae | 2004-11-04 22:06 | 本の感想
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nanakikae
大学生。 永遠の愛読書は『崖の館』、『自負と偏見』。 とっときなのは、佐々木丸美さんと三浦しをんさん。 ◎連載しております。 『彷書月刊』(彷徨舎) 『WB』(早稲田文学編集室) *このブログについて *MediaMarker *メールフォーム カテゴリ
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